2011年9月15日

橋下知事の安威川ダム本体工事着工宣言に抗議する

 

-ダブル選挙の思惑から、突如橋下知事が河川整備委員会の審議を打ち切り、本体工事の着工を宣言-

 

明るい茨木をつくる市民の会・安威川の治水を考える流域連絡会

9月13日の大阪府河川整備委員会は「貯留ダムから流水ダムに変更する特段の理由と根拠は見つからなかった」と安威川ダムの検証作業をすべて打ち切り、「現計画の推進が適当」との報告を知事に行い、それを受けて9月15日橋下知事はダム本体工事着工を明言しました。

 

検証で現計画の優位性や安全性は何一つ解明されず

 

そもそも今回の検証の発端は今年度第一回河川整備委員会(5月17日)で、突如、安威川ダムを従来の貯留型ダムから流水型ダム(平常時は貯水せず、洪水時のみ洪水を貯留するダム)への転換を検討する事を突如、知事が個人的に発言したことにありました。当日の河川整備委員会の議事録を見ると(橋下知事から)「正常流量確保の必要性及びその根拠についての検証が十分なのか。また不特定利水容量の妥当性に関し、東日本大震災でため池ダムが決壊したという事例もあることから、常時水を貯めておくことのリスクとメリットについて比較が十分にされているのか。この2点について、府民や地元の方々にも十分理解していただけるよう、改めて委員会にて検証・検討いただきたいという要請があった」、さらに7月6日の河川整備委員会の資料を見ると、「今後2年間かけて、「1)  流水型ダムによる流量変動、流況の変動、掃流力(洪水初期・末期)、土砂排出機能等をはじめ6項目さらに1) 安威川ダムの耐震設計  現計画での耐震設計の考え方、超大規模地震動による動的解析等をはじめ5項目についても検討の対象にする」としていました。

しかしこの間の河川整備委員会は府当局が作成し資料を下に、形式的な審議を行っただけです。たとえは安威川ダム貯水池周辺の豪雨時、地震時、水位変動による斜面崩壊発生についても、「既往調査では地すべり地形はない」とかたづけられています。

 

今こそ安威川流域の治水はダム固執から堤防強化と護岸整備など安全・安心の対策への転換を

 

8月11日国交省発表の「深層崩壊マップ」には、この地域は「深層崩壊発生の可能性が高い」「渓流単位の詳細な調査の必要あり」とされています。また朝日新聞は、12号台風「和歌山記録的豪雨」で「3治水ダム満杯になり放流」「下流被害防げず」と報道し、識者は「治水ダムの洪水調節機能は計画時の想定を超えた降雨には効果はない」と指摘しています。今、原発に依存するエネルギー政策からの脱却が大きな世論となっています。同様にダムに依存する治水対策からの転換も求められています。「市民の会」と「流域連絡会」は引き続いて、府民や流域住民と共に、ダムの安全性の究明と共に治水対策の転換を求めて全力を上げることを決意しています。