安威川ダムの安全を考える
安威川ダムが決壊したり、ダム津波を起こしたら下流は
問4.安威川ダムの場合、市街地にきわめて近い位置に建設されることから、上流のダム湖周辺で豪雨時や地震時などに大規模な地すべりが発生した場合のことを考えると心配ですという声を聞きます。どんな被害がどの程度おこる可能性が考えられるのでしょうか。また一方、いつおこるかどうかわからない地すべりのことをいちいち気にしていたら、何もできないという声も聞きます。どのように考えたらいいのでしょうか。
バイオントダム地すべり状況

ダム下流域の茨木市など五市が被害に

 大規模な地すべりが発生して、安威川ダムの堤体を越流すれば、ダムに貯水されている大量の水が洪水となって、下流の茨木市域はもちろん高槻市、摂津市、吹田市、大阪市域なども襲うこととなります。
 たとえばイタリアのバイオントダムのダム津波の例では、地すべりの土砂がダム湖に崩れ落ち、多量の水が堤体を越えて下流を襲い、死者二千名をこえる大惨事となりました。この際小さな地震が地すべりを大きくする役割を果たしたといわれています。安威川ダムの場合も豪雨時や地震発生時に貯水池周辺の斜面が崩壊して、いわゆるダム津波をおこす危険性について否定できません。

<経済性優先の開発の見直しを>
 阪神大震災から相当期間がすぎると、「気にしていたら何も出来ない」との声が出始めているのは事実ですが、大変残念なことです。自然条件を無視し、経済性優先の都市開発をすすめたことが、阪神大震災の最大の要因であることは、多くの識者が指摘するところです。日本が災害国であるからこそ、日常生活にも備えが必要ですし、地域開発はその地域の自然条件を十分考慮に入れたものでなければなりません。それだけに安威川ダムの場合は安全性とともに、その必要性についてもう一度よく吟味する必要があるのではないでしょうか。




立ち退き代替用地は直下型地震に耐えられるか
問7.大阪府は、ダム計画で立退を余儀なくされる生保地区住民の代替用地について、馬場断層の真上の幅数メートルは道路や公園など公共用地に利用するので、万一の場合でも被害は少ないと説明しています。本当でしょうか。

代替用地の方がより危険

 極端な場合、活断層の真上に家を建てると家が引き裂かれる可能性もあるわけですから、真上に家を建ててはいけないことは間違いありません。アメリカのカリフォルニアでは活断層の上やすぐそばには建物を建てることが法律で規制されています。

 しかし地震の揺れによる被害についてみれば、真上さえさければ、大幅になくなるとはいえません。なぜなら直下型地震のゆれは地下十キロ以上の深い所からくるので、数メートルどころか数十メートル離れても、揺れの大きさにはたいした違いはないからです。大阪府も「被害は少ない」といっても、「被害はない」とはいっていないはずです。

<阪神大震災の教訓を生かして、十分な検討を>
 現在の集落地と地盤の代替予定地の地盤を比較すると、兵庫県南部地震による震災の教訓から見て、相対的に問題が多い場所であることは間違いありません。もちろん被害が大きかった例の多くは盛土地や谷を埋め立てたところですが、宅地は無事でもそこへの侵入路やライフラインが壊滅したところも少なくありません。また一般的にいって活断層の周辺は湧水等によって地盤が軟弱になっているケースもよく見受けられます。
 したがって、この場所を代替地とすることは非常に問題で、慎重の上にも慎重な調査と研究の必要性があるのではないでしょうか。



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